929 愛媛県の神社調査を本格化させたい(下調べ) @
20220116
太宰府地名研究会(神社考古学研究班) 古川 清久
愛媛県の神社調査を本格化させたいとの思いが募ったのはこの2年ほどです。
これまで移動しやすい山陰山陽から但馬〜京丹後〜福井、滋賀…といったところは頻繁に入っていたのですが、四国は過去7〜8回程度で、なかなか調査が進んでいません。
一衣帯水とは言え、九州からは船で目と鼻の先ではあるのですが、フェリーで車を持ち込むと往復2万円以上は上乗せされる訳で、二の足を踏んできた事は間違いありません。
ところが、最近になり愛媛の方々との接触が多くなり、やはり調査を進めなければ…と考えるようになってきたのです。
まず、近稿として伊予市の伊予稲荷神社のリポートを書きましたが、かなり変わった側面を見出し、これは今後とも、松山市、松前町、砥部町…と全神社調査とまでは言わないものの、重要と思える神社を絞り込んで実踏査に入ればそれなりの成果が出てくるのではないかと考えた次第です。
そのためには「愛媛県神社誌」を入手する必要があります。
ネット上には愛媛県神社庁による多くの神社についての解説が行われていますが、勿論、細部については書かれていないため、その部分にメスを入れなければ古代神代の深層へは到底届きはしないのです。
後は、神社踏査の絶対量を可能な限り増やすべきで、何回かに一回は自分の車を持ち込み、一週間弱の調査も考えています。

新居浜から宿毛の手前まで海に面した山がちな地形が広がり島根県のような静かな地域と思っています
最近と言うより、ここ一二年愛媛の方々との接触が増えており、半ば忌部を思わせる組織だった方々だけに、こちらもレベルを上げ現地踏査のレベル・アップを図らなければ好い加減な話はできないとの思いが募っているところです。
まず手始めは松前(マサキ)町から始めたいと考えています。
そもそも、前をサキと呼ぶ=読むのは古代のからの習わしであって、その痕跡が地名にも留められているのです。
分かり易いのは大分県の国東半島で、国の東(東の端)と言っているのです。
これは日本国の東の端でもない国東半島が東の端と主張した意味は、九州が国の中心であった遠い古代(一応、紀元前から7世紀辺りまでを想定しているのですが)その時代は正しく九州そのものが国の直轄領域でありその東との理解が成立していたからだと考えているのです。

これは長崎県島原市の中心部の地図ですが、島原鉄道の駅名にも大三東があるのです。
これは、オオミサキと呼ぶのですが、「前」ではなく「東」を「サキ」と呼んでいるのです。
この様な例は外にも見られ、千葉県の玉前神社(上總國一之宮 玉前神社)=名神大社がタマサキ神社と呼ばれているのです。
この神社はあまり知られてはいませんが、神社誌では貴重極まりないもので、神武天皇の母君(神玉依姫)を祀る神社なのです。
この神玉依姫に準え、鴨玉依姫の子でしかない神武僭称贈)崇神が神武帝を偽装したのが欠史8代架空説で、崇神を神武仕立て上げようとしたのが後の藤原氏だったのです。
彼は、年嵩ではあるものの、只の開化天皇、神功皇后の臣下でしかなかったのです(久留米は高良大社に残された「高良玉垂宮神秘書」を熟読の事)。
前を「サキ」と呼ぶ例は青森県弘前市、静岡県御前崎市などの地名は直ぐに浮かびますが、この松前町は正しく国東半島の正面と言うべき場所であり、この地が益々興味深く見えてきました。
松前待ちには20社ほどの神社が在りますが、最低でも10社程度を踏査すれば、全体の傾向が掴める様に見えます。
後世の義民神社は良いとして、まず、素鵞神社5社が目立ちます。
恐らく、頭王神社(これもスサノウ=牛頭天皇を祀る神社のはずで一応はスサノウ系に括って良いでしょう)、貴布祢神社と合わせ、この地にはスサノウ系の人々が住んでいるのではないかと思います。彌五郎の霊を奉斎しているとの事ですが、この弥五郎は南九州では山幸彦=ニギハヤヒ=猿田彦
であり、南九州の弥五郎とこの地の彌五郎とが対応するかは今後の課題です。
高忍日賣神社は手強いので後に廻して、

最後に残るのが貴布祢神社ですが、筑豊にも70社近くあり、かつて全神社調査を始めましたが、バラつきが多すぎて、半ば廻った時点で止めたことがあります。
しかし、半分でも見て回ったことは無駄ではなく、闇淤加美神、高龗神が7割方だった事を記憶しています。
頭王弥(彌)五郎が誰かがお分かりにならないと思いますが、鹿児島〜宮崎〜一部熊本南部に掛けての、所謂、古代日向国ではヤガロードンが今なお大きな存在感を示しています。
我々は山幸彦=ニギハヤヒ=猿田彦 同体と理解しています。
松前町には5〜6社のスサノウ系神社が存在するようですが(いわばスサノウの海)、その中にヤゴローとして山幸彦が顔を覗かせているようです。
いずれにせよ、詳報は現地を確認してからです。
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