866 宗像の神々 B 福岡県宗像市にも愛宕の神が鎮座する
20210129
太宰府地名研究会(神社考古学研究班) 古川 清久
愛宕神社と言えばどこにもありそうでなかなかない神社ですが、多くの神々が集う宗像故か?
丁度、赤間の一角にもありましたので、この神が何者かをお話ししておきたいと思います。
場所は3号線で博多と北九州を移動すると赤間辺りに福岡教育大がありますがその南1キロ辺りに2つの愛宕神社があるのです。
この神社は東京都港区や京都の愛宕が有名で、防火 防災に霊験のある神社として知られ


まず、「福岡県神社誌」を見ることにしましょう。
愛宕と言えば九州では福岡市の姪浜の愛宕神社が頭に浮かんで来ます。
それは神社ではなく地名としての「愛宕」でした。そこで、かなり前に薩摩半島で愛宕地名を探して廻った事もありました。
さて、本題に入りますが、祭神は金山彦で良さそうです。
主神 軻遇突智大神 従神 宗像三女神(田心姫神 端津姫神 市杵島姫神) 惶根命
分かり難いのは、面足尊(おもだるのみこと)と並び扱われる惶根尊(かしこねのみこと)です。
恐らく、金山彦のお妃である埴安姫で良いのではないかと思います。
宗像三女神の中でも鴨玉依姫はこの夫婦神の娘であり、三女神が取り込まれている事とも辻褄が合う訳です。
ただ、金山彦は孫のナガスネヒコの代になり神武=呉太伯系と衝突し表向き九州からは消えるのです。



百嶋由一郎最終神代系譜(部分)
記紀の神代史は実体のない名前だけの神様が続出し殆ど理解不能ですが、それでも苦闘すると、“国之常立神より下、伊邪那美神より前は、二神がセットで現れ、各一代と数える。その6番目が於母陀流神(面足神)と妹阿夜訶志古泥神(惶根神)である”という多少の法則性が拾えます。
そうした中敬愛する「正見行脚」氏も宗像でも重要な八所宮に絡め同社に対してコメントを加えておられました。
特に「吉留の八所宮」は、本愛宕神社の鎮座地・冨士原地区(旧藤原村の産神であり、その祭神の一「綾かしこねの尊」が「惶根命」である。
「惶根命」は、日本神話に出てくる「神世七代(かみよななよ)」(天神七世あまつかみのななせい)の第七代「伊弉諾尊・伊弉冉尊」の実母「惶根尊=阿夜訶志古泥神」(あやかしこねのかみ)のことで、実父「面足尊=淤母陀琉神」(おもだるのかみ)と合わせて、この二神が神世第六代の天神である。
因みに「吉留の八所宮」は、「神世七代」のうちの四代(四世)八神(八柱)を祭神している。このことが社名の由来となっているが、八柱の神とは次の八尊(みこと)である。
「正見行脚」氏も “「伊弉諾尊・伊弉冉尊」の実母「惶根尊=阿夜訶志古泥神」(あやかしこねのかみ)のことで、実父「面足尊=淤母陀琉神」(おもだるのかみ)”と書かれており私も安心しましたが、第七代「伊弉諾尊・伊弉冉尊」の実母 の部分は依然問題です。
これについては、百嶋由一郎最終神代系譜を見るとお分かりになるのですが、イザナミは金山彦の妹であり、実母ではないのです。
勿論「正見行脚」氏は「記」「紀」に沿って解読されているからでそれ自体誤りではありません。
ただ、我々は百嶋神社考古学で考えればどうなるかの試算、試案を試みているのであって、「記」「紀」が何故そう描いたかを逆に考えるのです。
なお、関東に行くと、金山彦+埴安姫は磐裂根裂(イワサクネサク)と呼ばれます。
磐裂が金山彦、根裂が埴安姫になるのですが、足名槌、手名槌と同じような表現です。

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