2021年08月25日

ビアヘロ182 8月8〜9日 阿蘇の高森町と阿蘇の産山村で平野虎丸氏と阿蘇の風Gが焼畑を行ないます

ビアヘロ182 889日 阿蘇の高森町と阿蘇の産山村で平野虎丸氏と阿蘇の風Gが焼畑を行ないます

太宰府地名研究会(神代史研究班) 古川 清久


焼畑と言えば、九州では宮崎県椎葉村上椎葉の椎葉クニ子さんが最も知られており、焼畑は元より、栽培種の管理、収穫物の保存や調理、栽培品種の種の保存…とあらゆる知識を蓄えた生きる図書館の様な方なのです。

ただ、そのクニ子様も齢100歳に近づいておられ、将来的にはいずれ終焉を迎えられるはずで、“焼畑の民宿”のために継続されてきた焼畑も、その後継者である息子さんが地場の土木業に頼っておられることから、いずれは消失する事になるはずなのです。

そこら辺の事情については、最近、足が遠のいている事からそれ以上の事情を知りません。

さて、平野虎丸氏のお話では上椎葉には同じく椎葉姓の方でもう一人焼畑をやっておられる方が残っておられるとの事、今回のイベントには何とか足を運びたいものと考えています。

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平野さんも子供の頃から焼畑を行ってこられた方ですが、この椎葉さんとその他の協力者、全国の平野虎丸ファン・クラブのメンバーも加わり焼畑の復活を行なわれる事になるでしょう。

しかも山の神への許しを請う唱え「火入れの唱え言」を唱えるのが、高千穂で売りに出されていた神社を買い取り半年で再生させた民間宗教者のF女史(ひのみこ社)と言うのですから、十分過ぎるほどの役者が揃っているのです。この方については、以下の230本のブログを拾い読みして下さい。

新ひぼろぎ逍遥

837

全国の神社が荒れていく中、売りに出された社殿+神社地を

買い取り再建する作業が始まった(上)

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高千穂町上野の下野八幡神社への下調べ B 

枳(ゲズ)とは何か?下“川口敦子論文から”

852

高千穂町西部の神社が面白い “ひのみこ社周辺の

神々下調べ 追補 @ 黒口神社”

863

高千穂町東部の神社も面白い “ひのみこ社周辺の神々

下調べ 追補 K ” 天孫降臨と槵觸神社”


無題.pngこのヤボに火を入れ申す  ヘビ、ワクドウ()、虫けらども、早々に立ち退きたまえ 山の神様、火の神様、お地蔵様、どうぞ火の余らぬよう  また、焼き残りのないよう、お守りやってたもうれ


 村ぐるみのような大規模な焼畑が行われる場合には山法師に頼む事もあったのでしょうが、数戸単位の焼畑の場合には、実際に火入れを行なう人と焼畑の地権者は同一である場合が多く、焼畑の実行者が唱えたのが上記の山の神への許しを請う火入れ言葉だったはずなのです。

 ともあれ、高森ではついぞ聞いた事のなかった焼畑が、宮崎ではなく熊本の阿蘇外輪山東麓の高森と産山で実現すると言う事実、それもその中心的人物が私の極近しい人であったことから心を揺さぶられないはずのない実に感動的な話が湧いてきたのです。

 私自身、椎葉クニ子さんの著書も読み、民宿「焼畑」にも何度か泊まりましたが、当時は、「稲作以前」(NHKブックス)佐々木高明著を読んだ直後でしたので、戦前から普通の畑で行われていた陸稲(おかぼ)栽培と、焼畑の関係が良く分からず、全く起源の異なる物なのか(事実宮崎の焼畑ではおかぼ栽培は行わない)、陸稲栽培が焼畑の延長上に成立した水田稲作に先行する物なのかを考えていたのでした。

ともあれ、以下の二著は実践的でその意味で興味深い本ではあったのです。


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 場所は高森町尾下(オクダリ)ですが、国道57号線波野村の笹岡交差点から大型広域農道が高千穂へと向かう325号線に向かって伸びており、その沿線に虎丸さんの本拠地である「花の森」が見えてきます


無題.pngひのみこ社グループは10時に草部吉見神社付近の奥阿蘇物産館から数キロ入ったストーン・サークル(物産館関係者もご存じです)に10時集合すると聞いています。平野虎丸さんについては当方のブログでも何度か取り上げていますが、一般には西日本新聞からご紹介しておきます。

とにかく、鉄人、プロの林業家、野鳥、野草Gメンとしても全国的に名の知られた方で、一応、海の本「有明海異変」を書いた私と、川を取り上げた堀田宣之ドクターと山のプロである平野虎丸氏…の三人会をこれまで続けてきたのでした。


高森町に「山野草の森」 50ヘクタール整備、折々に観賞会 環境保護団体代表の平野さん

2019/5/15 6:00 

ヤブデマリの白い花を指す平野さん。夏には赤い実を付けるという

 山野草希少種の宝庫として知られる高森町で、自生する四季の山野草を楽しむ森づくりが進んでいる。環境保護団体「エコシステム協会」(熊本市)の代表理事を務める平野虎丸さん(81)が、4年前に個人で購入した山林50ヘクタールを整備。折々に観賞会を開き、自然愛好家を案内している。今月初めにサクラソウが見頃を迎えたほか、6月中旬にはベニバナヤマシャクヤクの観賞会が予定されている。

 県警事務職員だった平野さんは1980年代、野鳥の捕獲や売買、山野草の盗掘に危機感を募らせ、有志で保護団体を設立。針葉樹の伐採地に多様な広葉樹を植えたり、荒廃が進む牧野を賃借・購入したりする「トラスト運動」を進めるなど、山野草の保全に取り組んできた。

 山林は、阿蘇市波野地区と宮崎県高千穂町を結ぶ道路沿いの高森町尾下(おくだり)地区にある。熊本市の自宅を売却して購入した。「日本一花の森」と銘打ち、住居や休憩施設を建て、自ら重機を動かして遊歩道を整備している。

 「昔から変わり者でね。山野草や野鳥を『買う』『飼う』ではなく、ありのままの姿を楽しめる森にしたいと思った」と平野さん。サクラやモミジを植えた以外は、間伐して適度な日照を増やし、山野草の自生地を広げている。

 山を案内してもらうと、薄紫色の小花を咲かせたケルリソウ、ヤブデマリの白い花などに出合った。ウグイスや渡り鳥の鳴き声、キツツキが木を打つ音も聞かれた。サクラソウは、かつて野焼き後の牧野を広く彩ったが、愛好家や業者による乱獲が進み、自生地が少なくなっているという。

 平野さんは、スギやヒノキの植林ではなく、適度に伐採して自然木の自生を待つ「植えない森づくり」を提唱している。整備を進める「花の森」は、その実践の場。「多様な木々や草花、野鳥や虫が生息する森づくりは、豪雨災害にも強い森づくりにもつながる」と考える。

 森では7月、朱色の花を咲かせるツクシマツモトが見頃を迎え、8月にはヒメユリがオレンジ色の星形の花を咲かせる。「山野草を楽しみながら守るモデルの場所を作って、私も一生を終えたいと思っているんですよ」と話した。

 観賞会以外でも、来訪者を無料で案内してくれる。       =2019/05/15付 西日本新聞朝刊=


焼畑と言えば、徳島県東祖谷村や山梨県の早川町とかが良く知られていますが、椎葉村も名だたる焼畑地帯であった事は言うまでも有りません。しかしその椎葉もその火が消えようとしているのです。

 ただ、ブラジルのアマゾンとかインドネシア〜ニューギニアなどの失火を装った山への火入れが横行していることを森林破壊と併せて略奪農業、自然破壊…といった罵声が浴びせられている事も事実です。

 ただ、日本の伝統的な循環型の焼畑が古来森林を破壊していない事は言うまでもなく、急峻な地形からそもそも政治的逃亡者、敗残者しか住み着かない様な環境が破壊的略奪を妨げてもいたのです。

 本来、焼畑は畑作の延長上に陸稲栽培も行なわれるのですが、九州では陸稲を植える話はあまり聴いていないのでそれが何故なのかが未だに謎なのです。

 それが繋がるのであれば、かつて照葉樹林文化論者が主張した焼畑〜恒畑〜陸稲栽培〜水稲移行として納得できるのです。

 妙な話を持ち出し混乱させたかも知れませんが、いずれにせよ消失直前になると逆に郷愁や希少価値が見直されロウソクの最後の輝きが見られるのかも知れません。鉄人平野虎丸も齢80を超えていますので、 恐らく、阿蘇の風のグループが焼畑の文化を残してくれるのではないかと思っているところです。

 当日は、ひのみこ社の「婦人会」の皆さんがお煮しめなどを中心に手弁当を準備し、焼畑の実働部隊への補給してくれる事でしょう。

 そもそも、今回の焼畑が何故行なわれる事になったのかをお話して終わります。今回、火入れの際に大山祗の神への許しを受ける高千穂のひのみこ社のリーダーの女性のお父様が虎丸さんと話をしていて、“戦後、一生を掛けて自分がやって来た野菜(キャベツ)の栽培と販売の仕事は、その年商からも十分に成功したが、一つだけやり残した事がある。それが焼畑だった…”と言われた事から、人吉盆地の水上村の山奥で食うや食わずで生きてきた虎丸さんは子供の時から焼畑に勤しんできた事から、私がやりましょうと思い立ったことが始まりだったのです。正しく、戦後を生延びた男同士の友情を垣間見た気持ちがするのですが、満州から帰ってきて阿蘇外輪山の開拓農家で高原野菜の走りであるキャベツに目を着け、当時高額の給与を受けていた宮崎の旭化成延岡工場の従業員に売るというスタイルを確立し新たなビジネス・モデルを切り開いたお父様の思いに答えようと立ち上がった虎丸さんに、阿蘇の風のGが連動し焼畑をやろうとしている事に私も心が動かされてしまったのでした。

 いずれ、現地リポートをお伝えしたいと思っているところです。もう889日は目前です。

 武漢肺炎ウイルスなど心配は無用ですが、皆さん安全に間違っても火に巻き込まれない様に…

posted by 久留米地名研究会 古川清久 at 00:00| Comment(0) | ビアヘロ