2019年01月09日

534 「しつこい」と「ひつこい」

534 「しつこい」と「ひつこい」

20171111

太宰府地名研究会 古川 清久


桂米朝全集に「堺飛脚」があります(特選!!米朝落語全集 第28 CD土橋万歳/堺飛脚/看板の一)。

とりたてて面白いという噺でもなくどちらかと言えば小噺の範疇に入るものですが、何度も聴いてようやく気付くこともあるものです。

落語ばかりではなく、自分ではそれなりに関西弁には慣れ親しんでいるつもりでいたのですが、関西では「しつこい」を「ひつこい」と言うことにようやく気付きました。

勿論、関東が「ひ」の発音を「し」としか発音しない(できない)という事は半ば常識ですが、聴いていると、やはり米朝師匠も「しつこい」を「ひつこい」と発音している事に遅れ馳せながらも改めて気づいたのでした(この点は九州と同じですね)。

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【上方落語メモ第5集】その211

堺  飛  脚

●何じゃこら? 死んでんのかいな? 生きてんのか? しっかりしなはれあんた。

 「はい」ヒョッと上げた顔が、目も鼻も口もなんにも無いノッペラボォ。

●ド狸、ヒツコイやっちゃなぁ……、えぇ、次は何やと思たらお前、女の白瓜みたいな化けもん。おいッ、高入道の次がノッペラボォ、古臭すぎるなぁ

おい、古いわい古いわい、出直せッ!

 パッと消えてしまう。

 「あいつらの考えることちゅうたら、だいたい相場が決まっとぉんねな、ちぃ〜と変わったこと考えやがったらえぇのに……」なんか言ぅてるうちに、

もぉ狸も化けもんも諦めたのか、なんにも出ません。

 しょ〜もない=つまらない。くだらない。仕様もないの訛化。

 高入道=大入道:からだの大きな、坊主頭の化け物。

 ヒツコイ=シツコイ:一つのことに執着して離れようとしない。執念深い。

   関西では「し」音がしばしば「ひ」となる。質、七(ヒチ)・失礼(ヒツ   レエ)・敷く(ヒク)

 音源:桂米朝 91/08/19 米朝落語全集(東芝)

【作成メモ】

 参 照 演 者:main=桂米朝 sub=*

 ●main高座記録日:1991/08/19  音  源  名:米朝落語全集(東芝)

 ファイル公開日:2000/06/04  江戸落語相当:*

 更  新  日:2008/12/07  リクエスト数:

 注 意 事 項:内容を削除、追加、改訂している部分があります。

          記録日のmain演者によるさげを採用しました。


あまり真面目に考えてはいなかったのですが、元々、「しつこい」という言葉はどうしても意味が分からず、何が語源なのかの見当が着かないでいたのですが、「しつこい」は明治以降に関東方言が標準化された事によって「しつこい」が普通の表現であるようになっただけのことで、いわば国民全てが錯覚している訳で、「ひつこい」が元であれば何でもなく容易に理解できることに気付いたのでした。

実際、何度も聴いていながら聴き飛ばしていただけで、米朝師匠も「ド狸、ヒツコイやっちゃなぁ」と語っておられた訳です。

さて、「ひつこい」をひっつきやすいから「ひっつこい」に転化して「ひつこい」が成立したとすれば容易に理解できる事になる訳なのです。


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「しつこい」が「ひっつきやすい」が語源なら分かり易い訳で、まず、「関西方言」という理解(東→西)そのものが誤りなのです。

そうすると「しつけ」(躾)さえも、もしかすれば「ひっつけ」が語源なのかも知れないのです。

元々、躾とは関東武士団の子弟の教育が起源なのですから(以下をご覧下さい)。

考えれば仕付糸も引っ付けるための物ですよね…。


【しつけの語源・由来】 ... 漢字の「躾」は、しつけの対象を礼儀作法に限定する武家礼式の用語として生まれた国字で、この頃から「仕付け」が別語と意識されるようになった。 「躾」には、身(体)を美しく飾る意味があり、「身」に「花」という漢字も作られた。

仕付け・躾(しつけ) - 語源由来辞典 gogen-allguide.com/si/shitsuke.html


火鉢が「シバチ」、と呼ばれ、七輪が「シチリン」と呼ばれるなど幾つも例がありますが、分かり易い例でお考えいただきましょう(以下をお読み下さい)。


1.本当の下町育ちは、「ひ」が発音できない。「潮干狩り」を「しおがり」と言う。(「コーシー(コーヒー)」も同じ) それを江戸弁と言う。特徴は「ひ」が発音できない事。例:「しがし(東)」 「冷たい」という意味の「冷やっこい」は「しゃっこい」。

「ひ」が発音できないと言うより「い」の段の発音がそもそもおかしい。特に「い」の段が連続するとさらにおかしな発音になる場合がある。例「ひしみとうがらし(七味唐辛子)

「ひ」と「し」が区別できない地域に「七味唐辛子」は存在しない「七色(なないろ)」と呼ぶ.

「日比谷(ヒビヤ)」と「渋谷(シブヤ)」を区別できない。

外国のオーケストラが日比谷公会堂と渋谷公会堂にばらけて到着した事件があった。(呼び屋が江戸っ子だったらしい)

1から10の数え方を「いち、にい、さん、しー、ごう、ろく、しち、はち、くー、じゅう」と思ってました(ばーさまが江戸っ子だったので)

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posted by 久留米地名研究会 古川清久 at 00:00| Comment(0) | 日記